東京, 2024年11月1日 - (JCN Newswire) - 当社の科学技術計算を高速化する演算処理技術に関する発明が、このほど公益社団法人発明協会(以下、発明協会)(注1)主催の、優れた科学技術の発明を表彰する「令和6年度関東地方発明表彰」において、2024年11月1日に「特許庁長官賞」を受賞しました。
受賞した発明は、当社が2009年に開発した科学技術計算を高速かつ高精度に実行する技術で、当社が理化学研究所と共同開発したスーパーコンピュータ「京」や「富岳」に搭載されました。さらにArm社の命令セットアーキテクチャにも採用され、現在に至るまで世界中のArmプロセッサ搭載サーバで使用されるなど、産業の発展に大きく寄与していることが評価されました。
地方発明表彰について
地方発明表彰は、各地方における発明の奨励・育成を図り、科学技術の向上と地域産業の振興に寄与することを目的として、大正10年に開始されたものです。北海道、東北、関東、中部、近畿、中国、四国、九州の全国8つの地方ごとに、優秀な発明を考案または意匠を完成された方々、発明などの実施に尽力された方々、発明などの指導、育成、奨励に貢献された方々の功績を称え顕彰するものです。
その中でも「特許庁長官賞」は、対象の発明の中で進歩性に優れ、特に優秀と認められるものに贈呈される賞です。
受賞概要
1.受賞者(注2):
特許庁長官賞 :富士通株式会社 本藤 幹雄発明実施功績賞(注3): 富士通株式会社 代表取締役社長CEO 時田 隆仁
2.受賞名称:
科学技術計算を高速化する演算処理装置の発明(注4)
3.受賞したに発明ついて
(1)背景と従来技術
スーパーコンピュータは、気象などの地球環境の予測、航空機や自動車などの流体や構造解析など、様々な科学技術計算に使用されています。これらの計算には、加減乗除などの基本演算以外に、三角関数や指数関数、対数関数などの数学関数が多く用いられますが、数学関数は処理が複雑なため、既存命令を組み合わせてソフトウェアによって演算を行なうのが一般的で、演算処理に時間がかかることが課題でした。また、数学関数の演算をハードウェアに実装するための従来技術として、CORDIC(COordinate Rotation DIgital Computer)や指数関数近似命令のハードウェア実装などがありましたが、反復処理のため処理速度が遅いという問題や、科学技術計算に必要な演算精度を満たしていないという問題があり、科学技術計算向けには実用化されていませんでした。
(2)発明技術
このほど受賞した発明は、科学技術計算において重要となる、数学関数の処理を高速に実行するためのプロセッサ、および演算処理技術に関するもので(図1)、回路規模の増加は最小限に抑えつつも、高速化が可能な特徴的な部分を専用命令として定義することにより、テイラー級数展開(注5)の前処理に必要な命令数を約1/3に削減したものです(図2)。これにより演算処理の高速化と演算精度の維持を同時に実現し、科学技術計算に必要な演算精度を満たし、実用化されました。
(3)産業上の応用
本発明により、スーパーコンピュータ上で実行される自動車や航空機などの構造解析、衝突解析、流体解析シミュレーションや、地球環境予測、地震、津波などの自然災害シミュレーションが、より高速かつ高精度に実行できるようになり、産業の発展や安全な社会の実現に貢献しています。本発明技術は、スーパーコンピュータ「京」に搭載されたのを皮切りに、スーパーコンピュータ「富岳」にも搭載され、演算プラットフォームの大手企業であるArm社が設計・ライセンスしている命令セットアーキテクチャに現在に至るまで標準採用(注6)されています。ハイパースケーラーが採用しているArmプロセッサ搭載サーバにも搭載されているため、国際的にも非常に大きな波及効果を生み出しています。また、本技術は、当社が2027年の提供開始を目指して開発している次世代データセンター向け汎用プロセッサ「FUJITSU-MONAKA」にも採用される予定です。
URL https://pr.fujitsu.com/jp/news/2024/11/1-1.html
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Source: Fujitsu Ltd
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