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東京, 2022年1月25日 - (JCN Newswire) - グローバル・コンサルティング・ファームのアリックスパートナーズはこのほど、今年、小売業界で注目される10のトレンドについてのレポートを発表しました。昨年はパンデミックが消費者行動と消費関連ビジネスに大きな影響を与え、小売業界ではレジリエンス(適応力)が大きなテーマとなりました。今年も小売業界はコロナ変異株の感染拡大に端を発するディスラプションを想定しながら、人件費や運送費の上昇、サプライチェーンの寸断、インフレ圧力など様々な課題への対応を迫られるでしょう。そうした環境下で小売企業は消費者の購買の利便性を高めるために、新たなショッピングの形態、より利便性の高い商品の配送や受取方法、メーカーが消費者と直接取引するオプションを提示するなどのイノベーションを重ねていくことになるでしょう。消費者は益々自己中心的でパワフルになりつつあります。小売各社はそうした消費者としっかり向き合うことで、どこに注力し、どこに投資を行うべきかが見えてくるはずです。
(1) リアルタイムで消費者ファースト:小売企業にとっては消費者を理解し洞察する能力がこれまで以上に重要となり、あらゆる組織の意思決定に影響を及ぼすことになるでしょう。これまでも論じられてきましたが、今年こそ小売企業がようやく消費者革命に目覚めることとなり、消費者ニーズを優先したビジネス・プロセスにシフトしていくと予想されます。これまでは信頼性の高かった固定客層が主要なターゲットでしたが、今後はこれまで当該企業と接点のなかった消費者が主要な顧客となり得ます。消費者は、社会のトレンド、アイデンティティ・ポリティクス(アイデンティティに基づく集団の利益を代弁して行う政治活動)、気分や時間帯によって変化を続けます。小売企業は、ゼロ・パーティ・データ(自社が顧客から同意を得て直接収集した顧客情報)によって商品や購買体験のパーソナライゼーションを促進し、消費者同士または企業とつなげることで製品やサービスの提案をより適切なものとしていくでしょう。
(2) 投資の優先順位の再考:コアビジネスを再定義し、顧客体験を向上させるための投資を優先するために、事業再編や経営陣の刷新が行われると予想されます。また、最新のテクノロジー、データ分析、オムニチャネルへの投資資金や機会を確保するためにノンコア資産を売却する動きやM&Aが活発になるでしょう。
(3) Eコマースの機能と性能の向上:これからは優れたEコマース基盤を持っていることが最大の差別化要因になるでしょう。小売企業は消費者が希望する商品に的確に辿り着けるよう、商品や体験をパーソナラズするためのデータ管理に一段と注力します。また、返品率を下げるためにバーチャルでの利用や試着を可能にする機能を充実させるでしょう。また、暗号通貨を含む新たな決済手段を導入し、顧客データのプライバシーとセキュリティの強化も進めるでしょう。サードパーティ・データ規制が強化されれば、パーソナライズされた体験を提供するために、ゼロ・パーティ・データを収集することが優先されます。購入後のサービスや返品ポリシーは、オンライン・オムニチャネル・ビジネスの競争において重要な要因となっていくでしょう。
(4) 実店舗の重要性再考:小売企業が店舗ポートフォリオの調整に着手したことで、過去2年間で米国内だけでも15,000以上の店舗が閉鎖されました。一方で実店舗は顧客とのつながりを深めブランドの認知度を高める場として再注目されるようになっています。店舗をオムニ・エコノミック・バリューとして捉えるには全ての直接および間接コストと利点を考慮する必要があります。店舗は消費者エコシステムの一部となり、消費者が望む企業との関係を提供する必要がある一方、店舗からの提案も重要になります。また、店舗で働く従業員をこれまで以上に重視し、人材をコストではなく資産と捉えることが重要となります。
(5) 消費者は新しい消費の仕方や商品に注目:消費者は、InstagramやTikTokなどのソーシャルメディア上でのショッピングを含め小売企業と積極的に交流するようになり、その現象は従来のブランドと小売企業のつながりを中抜きする形になります。ライブコマースを始めとする消費者と接点を持つチャネルは、より詳細な消費者情報を集めることを可能とし、新たな収益源を生み出しながらブランドを紹介する手法として拡大していくでしょう。より多くのブランドが、デジタル資産や非代替性トークン(NFT)などのニーズの高まりに応える努力をする中で店舗とデジタルの融合が一層進むでしょう。
(6) サプライチェーンとロジスティクスが優先課題に:昨年末の在庫維持コストの高騰を受けて、小売企業はサプライチェーン・プロセスの理解と改善にエネルギーと人材と資金を投入しなければならない状況にあります。サプライヤーやメーカーとの相互理解を深め、目標や問題点、データの透明性を高めることができる小売企業こそが利益を拡大することができるでしょう。
(7) サステナビリティの重要性がさらに拡大:消費者の要求に後押しされる形で、小売企業はあらゆる調達やバリューチェーンの中でよりサステナブルな手法を継続的に追求するでしょう。リユース、リセール、レンタルなど循環型ファッション経済が、より顕著に、より広く普及していくでしょう。
(8) 商品の小口化と在庫回転の拡大が重要に:インフレを背景に、小売企業は値引きを減らす方法を模索せざるを得ない状況になっています。購入頻度を高めるために、各ブランドはより小口で頻繁に在庫を放出する戦略に移行することが予想されます。そうして、新規顧客獲得コストを削減し、オーガニック・トラフィックを拡大することができます。また、消費者のインサイトが商品決定に反映されれば、消費者の優先順位の変化に俊敏に対応できるため、ロイヤリティを高めることが可能になります。
(9) 運転資金の効率化が焦点に:昨年末はサプライチェーンの寸断により在庫を確保するために甚大なコストを費やすことを余儀なくされました。今後は在庫の生産性と回転率が鍵となります。インフレが続く中、小売企業は出荷を遅らせる、バックオフィスのコスト削減、商品価格の引き上げなど、コスト増を吸収するための様々な策を模索すると予想されます。
(10) あらゆるバリューチェーンで提携が起こる:顧客獲得と財布内シェア(ウォレット・シェア)を高めるため、ブランドと小売業者が手を組み、共有サービスや商品購入のための追加プラットフォームを提供するようになります。また、小売企業は、買収やサードパーティー・配送業者との提携を通じて、物流の合理化を進めるでしょう。サービスやオペレーションが補完される一方で、顧客の目に触れることのないパートナーシップもさらに台頭するでしょう。
アリックスパートナーズ東京オフィスで消費財・小売担当するディレクターの魚谷洋輔は次のように述べています。「本リリースのタイトルには『今年の』という枕詞が付いていますが、決して今年1年に限ったトレンドではありません。ここでご紹介した10のトレンドについては、世の中の大きな変化、例えば日本においては低所得世帯の増加、事業売却の加速化等を考えると、消費財・小売企業が中長期的に成長するためには既に本格的な対応を始めている必要があるとみています」。
アリックスパートナーズについて
1981年設立。ニューヨークに本社を構える結果重視型のグローバルコンサルティング会社。企業再生案件や緊急性が高く複雑な課題の解決支援を強みとしている。民間企業に加え、法律事務所、投資銀行、プライベートエクイティなど多岐にわたるクライアントを持つ。世界20都市に事務所を展開。日本オフィスの設立は2005年。日本語ウェブサイトは https://www.alixpartners.com/jp/
トピック: Press release summary
Source: AlixPartners
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