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2022年11月30日 17時30分 JST
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Source: Eisai
エーザイ、抗アミロイドβプロトフィブリル抗体「レカネマブ」の早期アルツハイマー病に対する臨床第III相Clarity AD検証試験結果を第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD)において発表

東京, 2022年11月30日 - (JCN Newswire) - エーザイ株式会社(本社:東京都、代表執行役CEO:内藤晴夫、以下 エーザイ)とバイオジェン・インク (Nasdaq: BIIB、本社:米国マサチューセッツ州ケンブリッジ、CEO:Christopher A. Viehbacher、以下 バイオジェン)は、本日、抗アミロイドβ(Aβ)プロトフィブリル抗体レカネマブ(開発品コード:BAN2401)について、脳内アミロイド病理が確認されたアルツハイマー病(AD)による軽度認知障害(Mild Cognitive Impairment:MCI)および軽度AD(これらを総称して早期ADと定義)を対象とした大規模なグローバル臨床第III相Clarity AD検証試験の結果を米国カリフォルニア州サンフランシスコおよびバーチャルで開催されている第15回アルツハイマー病臨床試験会議(CTAD:Clinical Trials on Alzheimer’s Disease)において発表することをお知らせします。

CTADサイエンティフィック・セッションにおけるレカネマブのデータ発表の要旨

●Clarity AD試験デザイン

本試験は、北米、欧州、アジアの235施設で早期AD当事者様1,795人(レカネマブ投与群:898人、プラセボ投与群:897人)を対象とした、プラセボ対照、二重盲検、並行群間比較、無作為化グローバル臨床第III相検証試験です。被験者は、レカネマブ投与群(10 mg/kg bi-weekly静脈投与)またはプラセボ投与群に1:1で割り付けられ、疾患ステージ(ADによるMCIまたは軽度AD)、AD症状改善薬併用の有無(例:アセチルコリンエステラーゼ阻害薬、メマンチンまたはその両方)、ApoE4ステータス、および地域によって層別割付けされました。被験者登録基準においては、多様な合併症あるいは併用治療(高血圧症、糖尿病、心疾患、肥満、腎臓病、抗凝固剤併用など)を許容しています。本試験では、民族的・人種的多様性を考慮した被験者登録を推進した結果、米国では登録被験者の4.5%が黒人、22.5%がヒスパニック系となりました。

主要評価項目は、全般臨床症状の評価指標であるCDR-SB1(Clinical Dementia Rating Sum of Boxes)の18カ月時点におけるベースラインからの変化とし、重要な副次評価項目として、アミロイドポジトロン断層法(PET)測定(センチロイド法)による脳内アミロイド蓄積、ADAS-Cog142(Alzheimer's Disease Assessment Scale-Cognitive subscale 14)、ADCOMS3(Alzheimer’s Disease Composite Score)およびADCS MCI-ADL4(Alzheimer's Disease Cooperative Study-Activities of Daily Living Scale for Mild Cognitive Impairment)の投与18カ月時点でのベースラインからの変化が設定されました。また、タウPETで測定する脳内タウ病理(n=257)、脳脊髄液(CSF)バイオマーカー(n=281)を評価しました。

●Clarity AD試験の有効性評価結果

主要評価項目である投与18カ月時点のCDR-SBスコアのベースラインからの平均変化量について、レカネマブ投与群、プラセボ投与群はそれぞれ1.21、1.66であり、その変化量の差は-0.45([95%信頼区間(CI): -0.67, -0.23];P = 0.00005)となり統計学的に高度に有意な結果が認められ、レカネマブ投与群はプラセボ投与群と比較して27%の全般臨床症状の悪化抑制を示しました。CDR-SBスコアの平均変化量の差は、投与6カ月時点(変化量の差:-0.17 [95%CI:-0.29,  -0.05];P<0.01)から3カ月毎のすべての評価時点においてプラセボ投与群と比較して統計学的に高度に有意な結果を示し、その絶対値は経時的に拡大を示しました(全評価ポイントでp<0.01)(図1)。

また、すべての重要な副次評価項目において、レカネマブ投与群はプラセボ投与群と比較して統計学的に高度に有意な結果(P<0.001)が認められました。アミロイドPET評価では、レカネマブ投与後3カ月からすべての評価時点で、統計学的に有意な脳内アミロイド蓄積の減少がみられ、投与18カ月時点のレカネマブ投与群における脳内アミロイドの平均変化量(センチロイド)は-55.5、プラセボ投与群で3.6(平均差:-59.1 [95% CI:-62.6, -55.6]; P<0.00001 )でした。投与18カ月時点でのADAS-Cog14評価では26%の認知機能低下の抑制(平均差: -1.44[95%CI:-2.27, -0.61];P=0.00065 )、ADCOMSでは24%の疾患進行の抑制(平均差:-0.050[95%CI:-0.074, -0.027];P=0.00002)、ADCS MCI-ADLでは37%の日常生活動作低下の抑制(平均差:2.016 [95%CI:1.208, 2.823];P<0.00001)を示しました。さらに、主要な層別解析では、疾患ステージ(ADによるMCIまたは軽度AD)、ApoE4ステータス(非保持者、保持者)、AD症状改善薬併用の有無、および地域(北米、アジア、欧州)のいずれのサブグループにおいても、レカネマブ投与18カ月時点のCDR-SB、ADAS-Cog14、ADCS MCI-ADLについて一貫した悪化抑制が認めらました。

●Clarity AD試験の安全性評価結果

レカネマブ投与群で最も多かった有害事象(10%以上)は、静脈注入に伴う反応(レカネマブ:26.4%、プラセボ:7.4%)、ARIA-H(ARIAによる脳微小出血、大出血、脳表ヘモジデリン沈着)(レカネマブ:17.3%、プラセボ:9.0%)、ARIA-E(浮腫/浸出)(レカネマブ:12.6%、プラセボ:1.7%)、頭痛(レカネマブ:11.1%、プラセボ:8.1%)および転倒(レカネマブ:10.4%、プラセボ:9.6%)でした。静脈注入に伴う反応は大部分が軽度から中等度(グレード1-2:96%)であり、その多くは初回投与時に発現しました(75%)。本試験の18カ月の二重盲検試験期間中における死亡例はレカネマブ投与群で0.7%、プラセボ投与群で0.8%でしたが、レカネマブやアミロイド関連画像異常(ARIA)発現に関連する死亡例はありませんでした。重篤な有害事象の発現率は、レカネマブ投与群で14.0%、プラセボ投与群で11.3%でした。治験薬投与後に発現した有害事象(TEAEs)は、レカネマブ投与群で88.9%、プラセボ投与群で81.9%でした。投薬中止に至ったTEAEsは、レカネマブ投与群で6.9%、プラセボ投与群で2.9%でした。

レカネマブのARIA発現プロファイルは、臨床第Ⅱ相試験(201試験)結果を踏まえ、総じて想定内でした。ARIA-Eは、画像診断では大部分が軽度から中等度(ARIA -E発現者の91%)であり、無症状(同78%)でした。その多くは治療開始後3カ月以内に発現(同71%)し、発見後4カ月以内に消失(同81%)しました。症候性のARIA-Eの発現率は、レカネマブ投与群で2.8%であり、最も一般的な症状として頭痛、視覚障害、錯乱が報告されました。症候性ARIA-Hの発現率は、レカネマブ投与群で0.7%、プラセボ投与群で0.2%でした。ARIA-Hのみ(ARIA-Eを発現していない被験者でのARIA-H)は、レカネマブ投与群(8.9%)、プラセボ投与群(7.8%)であり、差はありませんでした。ARIA-EおよびARIA-Hは、ApoE4非保持者でApoE4保持者より発現頻度が低く、またApoE4ホモ接合体保持者ではApoE4ヘテロ接合体保持者よりも高い頻度で観察されました。なお、コア試験とその後の非盲検長期投与試験において、大出血が併発した死亡率は、プラセボ投与群(1/897例)、レカネマブ投与群(2/1608例)ともに0.1%でした。レカネマブ投与群の2例は非盲検長期投与試験において発生し、いずれも重大な合併症および大出血や死亡の一因となる抗凝固薬使用などのリスク因子を有していたため、エーザイはこれらをレカネマブに起因する死亡ではないと評価しました。

●Clarity AD試験の画像、血漿、CSFバイオマーカー評価結果

レカネマブ投与によるアミロイド、タウ、神経変性に関する画像、血漿、CSFを用いたバイオマーカー評価を行いました。アミロイド関連のバイオマーカーでは、レカネマブ投与により、CSFおよび血漿中Aβ 42/40比において早期より持続したアミロイド除去効果が示されました。アミロイドPET評価では、レカネマブ投与18カ月時点の脳内アミロイドレベルの平均値が22.99センチロイドとなり、アミロイド陽性の閾値30センチロイドを下回りました。タウ関連のバイオマーカーでは、アミロイドの除去が進むと、AD病理のパスウェイのアミロイドの下流にあたるCSFおよび血漿中リン酸化タウ(p-tau181)においても改善することが示されました。タウPETによる解析では、レカネマブ投与によりプラセボ群と比較して、側頭葉へのタウの蓄積が遅くなることも確認されました。CSF中総タウ蛋白(t-tau)はレカネマブ投与で改善しました。神経変性に関するバイオマーカーについては、CSFおよび血漿中のニューロフィラメント軽鎖についてはレカネマブ投与とプラセボ投与による顕著な差は確認されませんでしたが、アストロサイトの活性化マーカーである血漿中GFAP(glial fibrillary acidic protein)とシナプス機能不全のマーカーであるCSF中ニューログラニンはレカネマブ投与により正常な方向へと改善されました。

●Clarity AD試験結果の臨床的意義

ADは進行性の神経疾患であり、高齢化の進展とともに当事者様、ご家族、ヘルスケアシステムに大きな影響を与える社会的課題となっており、疾患病理に作用する新たな治療薬が求められています。早期ADを対象とした治療のゴールは認知機能や日常生活機能、精神症状への持続的な効果や進行抑制による自立の維持、QOLの改善・維持です。

レカネマブは、Clarity AD検証試験において複数の認知機能・全般症状の指標で一貫した悪化抑制を示し、サブグループ(人種、民族、合併症)における臨床効果も一貫性を示しました。また、レカネマブ投与によりCDRの重症度評価でより後期の疾患ステージへの進行リスクを31%低減します(Hazard Ratio: 0.69)。CDR-SBの観察データと30カ月までの外挿に基づく傾斜分析によると、投与後18カ月時点のプラセボ群と同じレベルに達するにはレカネマブ投与では25.5カ月かかり、7.5カ月の進行抑制が示されました。201試験結果に基づくモデルシミュレーションによると、レカネマブはより軽度なADステージにある期間を2.5年~3.1年延長する可能性が示唆され、早期ステージの状態をより長く維持することが期待されます。さらに、AD当事者様の健康関連QOLの維持や介護者様の負担軽減(23-56%のスコア悪化抑制)も示されました。これらの結果から、レカネマブによる治療が早期AD当事者様とそのご家族、医療従事者、社会にとって、意義のあるベネフィットをもたらすことが期待されます。

これらのレカネマブに関するサイエンティフィック・セッションにおける発表は、エーザイのコーポレートウェブサイトの投資家セクションにてライブ配信されます(英語のみ)。内容は改めてオンデマンドでも配信予定です。

レカネマブについて、エーザイは、開発および薬事申請をグローバルに主導し、エーザイの最終意思決定権のもとで、エーザイとバイオジェンが共同商業化・共同販促を行います。

本リリースの詳細は下記をご参照ください。
https://www.eisai.co.jp/news/2022/news202285.html

概要:エーザイ株式会社

詳細は www.eisai.co.jp をご覧ください。

トピック: Press release summary
Source: Eisai

セクター: BioTech
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